私の名前はジロギン。
18年くらい前になりますかね。私が小学2年生だった時のお話です。
私の家は両親が共働きでして、夜になるまで帰ってきませんでした。
普段、私は学校に行っていましたし、そのあとは友達と遊んでいたので、親が家にいるのもいないのも関係のない状態。
でも、夏休みになるとそうはいきません。学校は休みになるので、私は1日中家にいることになります。
親としては、子供を一人で家に置いておくのは怖いことです。
怪我をしたり、悪さをして事故を起こすかもしれません。
そんな親の気持ちをわかってくれたのか、私と同じクラスの「Aくん」のお母さんが、夏休みの間、Aくんの家で遊んでいいよと声をかけてくれました。
Aくんとは仲が良く、何度か家に遊びに行ったことがあったので、親も安心して、私を預けることができたようです。
私はずっとマンション暮らし。一方でAくんの家は2階建ての広い一軒家。
一軒家は私の憧れだったので、私はAくんの家に行くだけでワクワクしていたのを覚えています。
夏休みの入って、Aくんの家に通い始めてから3〜4日が経ったある日のこと。
Aくんのお母さんが、お昼ご飯の食材を買いに出かけ、私とAくんだけの時間がありました。
Aくんは私に
「家の中でかくれんぼしよう!」
と言ってきたのです。
広いAくんの家でのかくれんぼ。まるで映画「ホームアローン」の世界のようでした。
もちろん私は、「やろう!」と即答。
まずはAくんが鬼になってスタートしました。
Aくんの家には隠れる場所がたくさんありました。が、私はベタですが、和室?のようなところの押入れの中に隠れることに。
ふすまを開けると、押入れは2段になっており、上の段は布団でいっぱい。下の段にはスペースがあったので、下の段に隠れてふすまを閉めました。
息を潜めて隠れていると、何度かAくんが押入れの前を走りながら通る気配がしました。でも、なかなか見つけられません。
クラスでもどちらかというと陰キャラだった私。存在感を消すのは大得意でしたので、かくれんぼにも自信がありました。
その時、走り回っていたAくんの足音が押入れの前で止まりました。
「バレたか!?」
と、ヒヤヒヤした私でしたが、結局それから5分くらいは見つからず。
「もうわかんないよ〜!どこ〜!?」
Aくんがギブアップする声が聞こえました。
私は、Aくんの前で「どうも、かくれんぼのプロです」みたいなドヤ顔をしてやろうと、ふすまを開けたのです。
その時、私の顔のそばを何かが通り、ストンッと床に落ちるのを感じました。
確かめてみるとそれは、包丁でした。
その日私は、すぐにAくんの家から帰りました。
そのあともAくんの家には行きましたが、その日以来、この危険な罠が仕掛けられたことはなく、Aくんもそのご家族も仲良くしてくれました。
今となっては、あれは「子供同士のいたずら」だったのだと考えています。
それでは、おやすみなさい。